- 佐貫寿樹
プレス加工業界昔語り - プレス加工は、㈱佐渡島テック
更新日:2019年11月22日
佐渡島テックがプレス加工の業界に参入した30年前は、オーディオセットなどの外装ケースは、まだ後塗装が主流であり、カラー鋼板をそのままプレス加工して製品化するという、今では当たり前の考えは、非常に斬新なものでした。
最新のデザイン、機能の機器に、美麗な縮み模様の黒いカラー鋼板のケースは、高級感を引き立てるすばらしいアイテムでした。
そんな中で、最新の家電品を所有する喜びは、デジタル以前の世界では、メーカー間の技術力の格差が見えて、機器ごとのブランド力を確立させていました。
そこに、いつの間にかデジタル化の波が忍び寄ってきたのです。
デジタル化は、コンピュータという、デザインであったり、データ処理であったり、特定の機能に留まらずあらゆる機能を持ちながら、使う者の目的や意思がなければ、ただの箱という、冗談のようなマシンに隠れて何となく世の中に現れたのです。
デジタル化は、それまで家庭単位で所有していたホームオーディオやホームビデオの世界を、個人の手の中に納まるパーソナルオーディオ、パーソナルビデオに変えて行ったのです。
また、恐ろしいことに、アナログの時代にメーカー毎のブランド力を支えていた特長のある機器は、デジタル化の洗礼で、どこのメーカーが作ってもほぼ同じ水準の機器になるという、製品の価格破壊につながる強烈な罠も含んでいました。
佐渡島テックは、この時代までは、MDウォークマンやデジタルカメラ、液晶テレビなどの部品を受注することで、何とかフォローしていましたが、日本国内での数量のある案件が激減してくると、親会社を持つグループ組織は体力もあると判断され、どんどんシュリンクしてゆく家電業界から、早い時期に、建材、建築金物等の業界への方針転換を余儀なくされたのです。