- 関 和也
カチオン電着 - カチオン電着の老舗 ㈱佐渡島テック
最終更新: 2019年11月22日
最近、朝晩の寒暖差も大きくなり・・体調を崩しやすい時期になってきましたね。
先週23日には秋分の日を迎え、スーパーの店頭では、多くの『おはぎ』を見かけました。
『おはぎ』に使われる小豆(赤色)は昔から邪気を払う、魔除けのチカラがあると言われ、秋分の日におはぎを食べる事は、実は300年前の江戸から、広がったと言われてる様です。いまも破られていない古い慣習(歴史)の一つという事になりますね。
さて、今回は当社(岩槻工場)の核となる塗装業に目を向けてみます。
こちらも、長きに受け継がれてきた歴史があります。その中から、『電着塗装』に今回は フォーカスしてみます。この『電着塗装』の原理は、1809年にロシアの物理学者によって発表されたとされてます。この原理とは『電気泳動』であり、電荷粒子・分子が電界を移動する現象の発見と言われてます。
これを機に、アニオン電着(技術)が生まれる事になりますが、世界で初めて、自動車用のボディに実用化したのが、今から遡ること約55年前(1963年頃)になりますので、まさに実用化に至るまで150年以上も要したと言う事になります。電着塗装の実用化には、多くの苦悩と失敗の歴史があったと推測します。
しかし、これが報われるかたちに・・
アニオン電着の実用化によって、電着技術は急速な発展を遂げることとなり、日本車では、昭和50年代(1980年頃)に、従来の『アニオン電着』から『カチオン電着』に各社とも、舵を切ったことで、現在の防錆塗装が一気に駆け上がっていきました。歴史は、”おはぎ”と比べると、まだまだ新しい技術ですので、更なる技術革新の可能性を秘めた ”カチオン電着塗装技術”であると考えられます。
因みに、電着塗装は塗りたい製品を水溶性塗料に漬け、電気力を利用して、樹脂塗料を付着させる方法です。被塗物をマイナス、塗料をプラスにする方式を、カチオン電着塗装、その反対の方式を、アニオン電着塗装と言います。
設備も塗料も異なりますが、カチオン電着塗装は密着性、強固な塗装膜により高い耐食性が得られる利点があります。一方のアニオン電着塗装も古い歴史があり、塗装色の安定性や焼付温度が低いなどの利点がございます。
■電着塗装

①カチオン電着塗装
エポキシ系樹脂のカチオン電着塗装は、密着力に優れた下塗塗装で、強固な塗膜が得られる為、自動車、建設機械部品、家電製品(部品)等に使用され、抜群の耐食性能を誇っています。
②アニオン電着塗装
塗装色の安定性(上塗に使用しやすい)や焼付温度が低いなど利点も多いのですが、製品がプラスであることから、宿命的に耐食性がやや不十分です。
当社では、耐食性能を重視する関係で、この方式はとっておりません。
まだまだ深堀すれば、多くの情報が出てくる業界ですが、各塗装とも技術発展の経緯やknowhowなど紐づけしていくと、更に興味や面白さが増してくる世界だと改めて感じます。